秋田市の人口減少 食い止めるための市の取り組み

秋田県の人口

秋田市の人口減少の現状と課題

秋田市の人口は年々減少しており、過去には河辺郡河辺町・雄和町の合併により33万人に達したものの、その後も減少が続いている状況です。


さらにこの人口減少は引き続き進行すると予測されており、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2045年には約22万6千人になると予測されています。


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秋田市の人口減少をより理解するために、自然増減と社会増減の二つの側面からもう少し深堀してみます。

社会増減

東日本大震災後に一時的な社会増はあったものの、転出超過の社会減が続いています。

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
秋田県全体 -4616 -4557 -4583 -4248 -4132 -4423 -3768 -2885 -3063 -2533
秋田市 -467 -368 -597 -720 -764 -1055 -365 72 -13 6
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プラスになっている年はあるものの、転出が続いている状態は解決しないといけない問題ですね。。

自然増減

出生率の低下と死亡数の増加により、2005年以降は自然減となっており、その傾向が年々強まっています。

秋田市の年別出生率

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
出生率 0.62% 0.59% 0.58% 0.57% 0.53%
出生数 1916 1802 1762 1740 1588
人口総数 309654 307403 305390 303122 300470

性別人口減少

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 合計
女性 -953 -1062 -1213 -1265 -1516 -1194 -1102 -1178 -1385 -10868
男性 -683 -918 -1022 -1230 -1204 -1057 -911 -1090 -1267 -9382
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自然減、社会減合わせてみると女性の減少が顕著で、子供の出生自体が少なくなっていることも一因ですね。

秋田市の取り組み

人口減少の現状を鑑み、秋田市では2021年度~2025年度の5年間を期間として「第2期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し実施しています。

人口減少と少子高齢化が進行する中、次の世代に引き継ぐことができる元気な秋田市を目指し、本県全体を牽引する県都としての役割を果たしていくとともに、秋田市人口ビジョンに掲げる将来の目指すべき姿の実現に向けた基本的な方向や具体的な施策をまとめたものである。
引用:第2期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略(令和3年6月策定)

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人口減少や少子高齢化といった課題を解決するための取り組み方針をまとめたもの、という感じですね。

また2021年以前は、2015年~2020年の6年間を実施期間と定めた「第1期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し実施しています。その成果報告書によると若い世代の支援や雇用創出などの目標が一部達成されたものの、出生率の向上や転出超過の改善など課題が残る結果となっています。

第1期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略 基本目標別数値目標達成度

評価指標 策定時 目標 実績 達成度
基本目標① 合計特殊出生率(%) 1.32% 1.48% 1.26% C
基本目標② 市の施策による雇用創出数(人) 0人 3,150人 3,110人 A
基本目標③ 市外への転出超過の改善(人) -342人 -171人 76人 S
基本目標④ 要介護認定を受けていない高齢者の割合(%) 84.4% 85.0% 85.2% S
基本目標⑤ 本市に住み続けたい人の割合(%) 74.9% 80.0% 73.1% C

基本目標① 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
保育料無償化や福祉医療費給付などを行い、結婚~出産をしやすい環境を整える取り組み。20~30代の独身男女を対象とした「シングルズカフェ秋田」を開設し、若い男女の出会いの場の提供なども行う。
基本目標② 安定した雇用を創出する
若年の非正規雇用者の正社員転換や、会社の創業を支援する取り組み。秋田市への定着を目的とした企業誘致、企業や事業の継承などを行う。
基本目標③ 秋田市への新しいひとの流れをつくる
アートイベント「芸術祭」の開催やスポーツクラブの支援、修学旅行誘致などを行い人を呼ぶ取り組み。主に子育て世帯や若者をターゲットとした移住の促進を目的に秋田市街地を盛り上げるような取り組み行う。数値目標の「市外への転出超過の改善」が令和2年度は転入超過となった。
基本目標④ 高齢者が健康でいきいきと暮らせるまちづくりを進める
高齢者を対象に路線バスやマイタウン・バスを100円で利用できるようにしたりコミュニティ活動を創出・支援したりなど、高齢者が生活をしやすい環境を整える取り組み。数値目標の「要介護認定を受けていない高齢者の割合」は目標を達成した。
基本目標⑤ 持続可能な地域をつくり、安全安心なくらしを守る
人口減少、少子高齢化を見据え、市民が必要なサービスに容易にアクセスできるよう、市街地をコンパクトにしようという取り組み。

第2期総合戦略の方向性・実際の取り組み途中進捗

第2期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略では、第1期秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略と同様に、創生プランで定める5つの創生戦略を踏まえて基本目標を設定しています。

基本目標①若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

この取り組みは、結婚、出産、子育てを希望する人々に対する重要な支援です。具体的な取り組みとして以下のような施策が行われています

1.第1子保育料無償化事業
第1子が生まれた世帯に対し、一定の所得制限のもとで保育料を無償化することで、子育て世帯の経済的負担を軽減します。

2.子ども福祉医療費給付事業
乳幼児や小中学生、ひとり親家庭の子供などに対し、医療費の自己負担分を助成することで、子供の健康を支えます。

3.妊娠期からの相談支援事業(秋田市版ネウボラ)
妊娠期から子育て期までのニーズに対応し、総合的な支援を提供することで、安心して子育てができる環境を整備します。

4.不妊治療費助成事業
不妊治療にかかる費用を助成し、早期の検査や治療を促進することで、不妊問題に向き合う夫婦を支援します。

5.放課後児童健全育成事業
昼間は保護者が不在な小学生に適切な遊びや生活の場を提供することで、子供たちの安全な時間を確保します。

これらの施策は、経済的負担の軽減や安心して子育てができる環境づくりを目指しています。特に、放課後児童クラブの拡充など、子供たちの居場所作りにも注力し、若い世代の支援を総合的かつ計画的に行っています。

基本目標②魅力的で安定したしごとの場をつくる

安定した雇用機会を提供し、地元での若者の定着を促進するための取り組みには以下のような施策が含まれています

1.アンダー40正社員化促進事業
40歳未満の非正規雇用者を正社員に転換する企業を支援し、3年間にわたり1人あたり年額20万円を交付することで、安定した高品質な雇用を拡大する取り組みです。

2.新型コロナウイルス感染症対策離職者採用支援事業
新型コロナウイルスの影響で離職した人々の再就職を促進するため、採用企業に対し、1事業者あたり最大10人・450万円の採用支援金を交付しています。

3.ビジネススタートアップ支援事業
若年層を中心に交流から育成・起業まで一貫した支援プログラムを実施し、創業者を増やすことで、起業率の向上を目指しています。特に、学生を含む若者を支援し、新しい起業家を育成する取り組みが行われています。

4.農山村資源活用基本構想策定経費と農山村資源活用推進計画等策定経費
農山村資源を活用して地域に人を呼び込み、地域の活性化を図るための構想策定経費が支援されます。首都圏などから人の流入を促し、地域の人口増加を目指す取り組みです。

5.スマート農業普及促進事業
高齢化や担い手不足に対応するために、AIやICTを活用したスマート農業の普及を図り、農作業の効率化や生産性の向上を図る取り組みです。また、省力化や効率化された農作業で生じる余力を経営拡大に活かし、農業所得の増加を目指しています。

これらの施策は、地元で魅力的で安定した雇用機会を創出し、若者の定着を促進することを目指して実施されています。

基本目標③多様なつながりを築き、秋田市への新しいひとの流れをつくる

この基本目標は、多様なつながりを築き、新しい人々の流れを作ることに焦点を当てています。具体的な取り組みとして以下のような施策が行われています

1.秋田市シティプロモーション推進事業
特定地区での地域づくりのワークショップを通じて市民の誇りや愛着を育み、市のイメージ向上を図る取り組みを行っています。

2.移住促進事業
移住費用の補助制度の拡充やSNSを活用した情報発信を通じて、新たな移住者を呼び込む取り組みを行っています。

3.秋田港大型クルーズ船誘致等事業
秋田港への大型クルーズ船の寄港を誘致することで観光客の需要を取り込み、地域経済の活性化を促進しています。

4.観光プロモーション事業
竿燈を活用したプロモーションや民間団体との連携を通じて観光客の誘致と市の認知度向上を目指す取り組みが行われています。

5.文化創造プロジェクト推進経費
文化創造館を中心に芸術文化を活用したまちづくりを進め、市民の誇りを育むための取り組みが行われています。

6.スポーツホームタウン推進事業
地元のトップスポーツクラブを中心にまちづくりを推進し、市民の応援意欲を高めることで地域への結びつきを促進しています。

これらの施策を通じて、秋田市は多様なつながりを築き、新しい人々の流れを創出し、地域全体の活性化を促進しています。

基本目標④高齢者が健康でいきいきと暮らせるまちづくりを進める

高齢者が健康で活力ある生活を送ることができるまちづくりを推進するための取り組みには以下の施策が含まれています

1.エイジフレンドリーシティ普及啓発事業
超高齢社会の課題を共有し、市民と行政の協働によるエイジフレンドリーシティの実現を促進する取り組みが行われています。情報発信や市民の意識啓発を通じて、地域全体で高齢者の健康的な生活環境を整備し、市民活動の活性化を目指しています。

2.高齢者生活支援体制整備事業
高齢者の生活支援ニーズを把握し、担い手の育成や関係者間のネットワーク構築を行う取り組みが行われています。地域に生活支援コーディネーターや協議体を配置・設置し、住民同士の支え合いを促すことで多様なサービス提供体制を整備しています。

3.認知症対策推進事業
認知症になっても地域で安心して暮らせるよう、医療と介護の連携を強化し、地域における認知症支援体制を構築する取り組みが行われています。高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる環境を整備し、認知症患者やその家族の支援を促進しています。

これらの施策によって、高齢者が健康で活力ある生活を送るための環境整備が進められ、地域全体での福祉の向上と共に、高齢者のQOL(生活の質)の向上を図る取り組みがなされています。

基本目標⑤持続可能な魅力ある地域をつくり、安全安心なくらしを守る

基本目標5は、持続可能で魅力的な地域を形成し、同時に住民に安全かつ安心な生活環境を提供することを目指しています。以下は具体的な取り組みとして挙げられる事業です

1.高齢者コインバス事業と高齢者コインバス交通系ICカード導入事業
高齢者向けの公共交通サービスを充実させるため、市が交付する資格証明書を持つ65歳以上の高齢者が市内の路線バスを100円で利用できるよう助成します。さらに、交通系ICカードの導入に合わせてコインバス資格証明書をICカードに切り替えることで利便性向上を図っています。

2.公共交通研究事業
第3次総合交通戦略や公共交通政策ビジョンに基づき、望ましい路線網やタクシーの活用、ICTを活用した研究を行い、将来的な提案や見直しを行う組織を設立することで、地域の公共交通体系の向上を図っています。

3.再生可能エネルギー導入支援事業
市民や事業者に対して、再生可能エネルギー機器の導入費用の一部を助成する取り組みを行っています。再生可能エネルギーの活用拡大を促進し、温室効果ガスの削減や地産地消を推進することで、持続可能なエネルギー利用を促進しています。

これらの取り組みにより、地域の持続可能性と魅力を向上させると同時に、住民の生活環境を安全かつ安心なものとする取り組みが展開されています。

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これらの取り組みで成果を出すことができれば人口減少の緩和につなげることができそうですね。期待!
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